車が大好きなお客様がいつも車の存在を感じることのできる家です。いつものことながらデザインには細部にまでこだわりました。家具、建具など照明器具もこの家だけのオリジナルです。デザインといっても見栄えも大切ですが機能性を兼ね備えたものとなっています。必然性を伴うデザイン、これを設計の柱としています。お客様の毎日の生活が楽しく豊かになる気持ちのいい空間を作りたい。ずっと家に愛着を持って暮らして頂きたい。世界に一軒だけの家を作るためにお客様のお考えをしっかりお聞きしひとつひとつ形にさせて頂いた家です。
OUTSIDE・・・外観
【南側】宇部市街地を見渡せる眺望を生かして2階LDK窓は開放的な木製カーテンウォールをほぼ全面に採用(日射を避けるために熱線反射ガラスを使用)。キッチン側の窓は特徴的な丸窓を縦に設け、外壁はガルバリウム鋼板スパンドレール。1F寝室外部にはプライバシーと開放感の両立を考え木製ルーバーを配置。屋根はガルバリウム鋼板縦ハゼ葺き、軒樋を屋根と一体で成形しシンプルな造形としました。縦樋もオリジナルデザインです。
【北側】外壁はリシン吹付け、青色はオーナー様のこだわり、なんども試作サンプル作り検討しました。北側ハイサイド窓からは直射日光を避け柔らかな太陽光が家の奥へ奥へと降り注ぎ、また家の中を風が抜けていきます。2階中間に取り付く庇は片流れの軒側の高く間延びした外観のプロポーションを引き締める効果を狙っています。軒天及び木部は木材保護着色塗装としています。ご主人の駐車場(左側)のオーバースライダーの上には木製水平ルーバーを取り付けこの家のファザードを特徴付けています。玄関外壁をガラス張りとし玄関ホール内部のギャラリー空間を外部から見られるようになっています。玄関ホールはその家のオーナーの人柄を主張するアピールスペース、ショールーム的な考えに基づいています。
INSIDE・・・玄関ホール(ギャラリー)
玄関扉はベルトーネのロゴ、英小文字bを模して作成。ベルトーネ(Bertone)はイタリア・トリノにある名門カロッツェリア(イタリア語で自動車を作る会社)。扉の材質は桜(ニヤトー)の無垢材、ウレタンクリアー塗装仕上げ。 玄関内正面壁にはオーナー様が自ら作成されたモザイクタイルで作られた絵。(ご主人の車、ランチャデルタインテグラーレ)に周囲は黒漆喰を塗っています。床は那智黒敷き、踏み石は中国にデザインを特注した黒御影です。 玄関ホールとご主人の駐車場の間の壁は木格子のスリットとなっており、ご主人の車が見え隠れします。またガラス製の飾り棚にはコレクションのミニカーを多数置くことが可能でスポット照明でライトアップの演出も楽しめるようにしました。 玄関ホールと奥様のガレージの間の壁は木格子のスリットとなっており、階段を経て奥様の車が見え隠れするようになっています。 階段下の照明や天井スポット照明により複雑な造形によって構成された玄関ホールはそのそれぞれのエッジを際立たせ光と影のコントラストを楽しめる空間となっています。
INSIDE・・・ご主人のガレージ・書斎
[ご主人の駐車場] シャッターはオーバースライダーとし色はメーカーに特注しました。駐車場の内部照明はランチャデルタインテグラーレのマッシブなラインを際立たせるために多方向からのピンスポットとしイタリア車独特の艶めかしいデザインが強調される演出をしました。ガレージ内で暖機運転が可能なように排気ガスの換気計画もおこなっています。 [ご主人の書斎] 車を眺めその存在をしっかりと感じていたいためガレージとの間は透明ガラスによって仕切られています。自転車をいじるのもお好きでカウンターを小さめにし、作業に適したフリーエリアを多くとっています。 南側は開放的ですばらしい眺望を生かした大きなFIX、縦すべり窓。照明器具はオリジナルのデザインとし、天井埋め込みスリット形状としたことですっきりと内部空間に同化させました。アクリル障子を通してのクールな明かりが部屋を演出しています。扉はご主人の車の色に合わせ赤、枠無しの天井までの大きな扉としました。これもこの部屋だけのオリジナルデザインです。
INSIDE・・・奥様のガレージ・アトリエ
奥様の御趣味はイラスト作成、そのため造り付けのカウンターを大きく設けパソコン、トレース台など効率的に使用できるように考えました。又、クラフト紙や道具の収納を機能的におこなえるように計算した造り付けの収納も隣に配置しました。 奥様のアトリエへの扉は青色。 ご主人の書斎との壁には小さなスリットを設け、趣味に没頭しながらもお互いの存在を感じれるように考えています。 奥様のアトリエとガレージの間の壁には小さな丸窓をもうけ、車がある風景を切り取るピクチャーウインドウとしました。
INSIDE・・・階段ホール
高い天井と壁で囲まれた少しタイトな縦長の空間にやわらかい太陽光が降り注ぐスペースです。 整然と並ぶ桜材で作ったオリジナルの扉とマットな黒の手摺。無垢の木を丹念に造作し、支持材である縦格子との調和を考えたスケルトン階段をオリジナルデザインの照明器具がシンプルと複雑に入り組んだ造形を映し出します。 LDKへの扉の前はあえて天井を低くし開けたときのLDKの開放感を強調する効果を狙っています。
INSIDE・・・LDK (Part1)
南側全面を窓とし宇部市街を一望できます。特に7月に行われる宇部市の花火大会の時には特等席となるでしょう。 天井・・・勾配天井とし無垢アガチス材、壁・・・ハイクリーンボード(シックハウス対策建材) AEP塗装、 床・・・無垢チーク材 ウレタンクリア塗装 キッチンレイアウトはフラット対面キッチンとしています。
INSIDE・・・LDK(Part2)
キッチンの背面には家電収納、食器棚、食品庫を設置し家電製品、食器類など置く物をピックアップし、調理する動線を十分に検討し機能的な作業スペースとしました。(ウォーターオーブン等の蒸気対策の検討もしてあります。)リビングのAV収納・飾り棚はオーナー様のこだわりのミニカーのディスプレイ用です。 LDKの照明は下がり壁の側面にスリット状にデザインし造り付けています。LDKの一部にはロフトとクローゼット、カウンターを取り付け、将来子供部屋としても使えるフレキシブル性を持つ空間としました。
INSIDE・・・ウォークインクローゼット
階段ホールから洗面脱衣室をつなぐ役割もかねる空間です。生活の導線を検討した結果、必然的にこの位置になりました。 天井にはマス目状のアクリル製ルーバーを取り付け柔らかな光に包まれた病院の待合室のような落ち着いた空間としています。
INSIDE・・・洗面脱衣室
家事の導線を考えキッチンからのつながりに配置しました。 天井を高く取り少し広めの計画で開放的な空間とし毎日の家事にゆとりがうまれればと思い計画しました。 洗面化粧台はシンプルにまとめ、前面鏡の裏の収納は電動歯ブラシ、ドライヤー、化粧品等々効率的に収納できます。 洗面台上部には大理石のモザイクタイル、下部には地窓を設けています。 湿気のこもりやすい部屋ですが上下に窓を設けたことで気持ちのいい風が通り抜けていく心地よい空間になりました。
INSIDE・・・WC
毎日使う空間だからこそ少し広めの平面と高い天井とし開放的なWCとしました。手洗いカウンターは無垢材を幾何学的にデザインしました。
INSIDE・・・サービスバルコニー(物干しスペース)
洗濯された衣類をすぐに干せるように洗面脱衣室に近接した位置にレイアウトされています。 また少しの雨でもぬれないように長い軒を設けました。 周囲に木製のルーバーを配置することで外観のイメージを妨げることなく、洗濯物も外部から見えにくいように、ただ風は抜け洗濯物がよく乾燥するように計画しました。 キッチンから出るゴミ等の一時仮置きの場所としても使用するとても重宝する空間です。
INSIDE・・・寝室
寝室は奥様のアトリエ奥になり道路から一番離れたこの家でもっとも静かで落ち着いた位置にあります。 掃き出しの前にはプライバシーを考え縦格子を設置しました。柔らかな光と風が楽しめる空間となりました。 またクローゼットの扉は天井まである枠無しの扉、ダボレールを使い正面からすっきりと見えるデザインにしています。