作品紹介
100年の息吹
築100年以上を隔て生き続けているこの古民家を、更に100年存続をさせる挑戦。家全体で普段使用している部屋は50%にも満たない。それを100%近く高める。普段使わない部屋は荷物置き場となっている。それを適材適所に収納できるように計画。
今まではキッチンが薄暗いスペースにあり昼間でも照明が必要でした。そこで二間つづきの和室をワンルームとし大空間LDKにリフォーム。それにより今まであまり使わなかった北側の和室を有効に利用しかつ南側の二つの和室ともつなげすべてを一緒に考え、状況にあわせフレキシブルに使える空間としました。またキッチンはアイランドタイプとし全員が参加できるキッチンスタイルとしました。キッチン横の収納はひいひいおばあちゃんの嫁入りタンスが造り付けの食器棚に大変身。ダイニングスペースの天井は格子の吊天井を取り付け古民家の雰囲気をさらに高めました。
キッチンの北側にはウッドデッキスペースを設け全開口サッシをあければオープンカフェスペースとなります。リフォーム前は段差がいたるところにありましたが床の下地を全て組みなおし段差をなくしました。廊下横の4畳の和室の床を板貼りし奥さんのギャラリースペースとしました。
- 床仕上:桧縁甲板(無垢材)
- 壁:既存柱はクリーニングしベンガラ塗装、漆喰は塗り直し
リフォーム前の小さな寝室を以前のキッチン・リビングを取り込み広いプライベート空間としました。
またリフォーム前は一箇所であったトイレを二箇所に増やし一箇所はご両親専用としました。みんなが使うトイレは広くとり壁の仕上げは特注色のじゅらくを塗り天井は丸太の小屋組みを露出させベンガラできれいに化粧。
狭かった脱衣室は洗面化粧台洗濯機を置いても十分な大きさとしました。
リフォーム前は狭かったご両親の寝室を廊下を取り込み広々とした空間にし専用トイレ、専用の納戸を設けました。
また壁床天井全て断熱気密工事を行い冬寒かった寝室を快適に過ごせるように工夫。
Architectural Works Photos
昔ながらの和風住宅を現代の生活スタイルに合わせて全面的にリフォーム。小さく区切られた部屋を大きなLDKに変化させ断熱性にも配慮した快適な癒しの空間に。
現在、家族のつながりやありかたについて問われる中でその根っこの部分はコミュニケーション、一緒にすごす時間を大切にすることです。そんな当たり前のことが当たり前にできる空間を作りたい。そんな思いが今回のリフォームにはたくさん詰まっています。
天井材には桜無垢材、床材はメープル無垢材。キッチン床にはテラコッタの白色タイルを使用。木は時が経つごとに傷や変色していきます。その変化は家族の大切な歴史になっていく。
広大な田園風景の中、北側の里山から流れるやさしく涼しげな風、季節の移り変わりを感じることの出来る木々、小川のせせらぎ。時間がゆっくりと進んでいるかのような空間、そんな空間での家作りでした。
本来、日本の家づくりはその土地の気候風土をいかし、環境に留意し創意工夫を重ね代々継承されてきたものです。先人たちの知恵、経験、努力により生まれ継承されてきた多くの優れた技術の結晶が和風建築であると考えます。
コンセプトを「続・新日本の家 伝統と革新の融合」とし伝統的な日本家屋を現代的なデザイン手法と設備を取り入れ融合する、この命題にオーナー様の御要望を考えながら今までとはまた違った別のアプローチで取り組み作り上げた家です。